こんばんは、ふみです。
今回は、とても大事なことをお話し忘れていたので後出しで書いてます。
こちらの記事の次にする作業になります。
相続する権利は、相続人の判断で放棄することができます。
よく言われる「相続放棄」というやつです。
また「限定承認」という選択肢もあります。これはまた別でお話しますので
今回は、相続放棄のお話をしていきます。
この「相続放棄」、相続財産の洗い出しの結果によってはとても重要な選択になります。
相続放棄とは
相続放棄は読んで字のごとく、相続権をすべて放棄することです。
相続放棄を選択すると、すべてのマイナスの負債とプラスの資産どちらも相続することができなくなります。
相続放棄をすると、「最初から相続人ではなかった」という扱いになるため
相続できなくなるという仕組みになっています。
相続放棄の申述(申告)先は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
申請方法は、家庭裁判所に必要資料を提出することで行います。
裁判所に直接提出するか、郵送で提出することができます。
管轄する家庭裁判所は、こちらをご覧ください。
相続放棄を考えた方が良いケース
相続放棄を考えるべき状況として、こんなケースが考えられます。
- 確実にプラスの資産よりマイナスの負債の方が多いとき
- 相続争いが起きて巻き込まれたくないとき
- 故人の相続財産を特定の相続人にすべて相続させたいとき
1.は、相続しても良い結果にならないことは想像できるかと思います。
返済に追われる身になるのは嫌ですよね。
特別な理由があり、負債が多くても相続したい!という場合は相続した方が良いと思いますが
あまり多くはないでしょう。
2.は、実際に相続が始まってみないとわかりませんが
お金が絡む話なので、争いが起きることは十分想像できます。
もちろん相続人同士で話し合い、納得して財産分与するのが基本ですが
相続放棄をすると最初から相続人ではないことになるので、最終手段として覚えておきましょう。
3.は事業継承の時に使われる方法のようです。
普通の相続の時にはあまり関係ないかもしれません。
相続放棄の注意点
相続放棄には注意点があります。
どれも大事なポイントです。
2.は特に注意が必要です。
相続財産の使用とみなされる例として、こんなものがあります。
これらは、相続することを前提とした行為なので
相続に同意したとみなされて、相続放棄ができなくなりますので注意しましょう。
3.は、相続放棄の申告は自分でもできるようですが
申述書や相続放棄の内容について、裁判所から質問される照会書への回答など
これまでの相続手続きとは違い少し複雑です。
特に、書類や記入内容の不備があると何度もやり取りをしなければならないようです。
そんな時に代理で手続きを進めてくれるのが弁護士と司法書士です。
それぞれの違いは、「業務の範囲」と「費用」です。
このような特徴があります。
弁護士が行う相続放棄業務 | 司法書士が行う相続放棄業務 | |
---|---|---|
業務 | 「相続放棄手続きの代行」 弁護士が代理人として裁判所への申立や連絡を行います。 もし、債権者からの催促や問い合わせがあった際「弁護士に問い合わせてほしい」と代わりに対応してもらうことが可能です。 必要な書類の取得・作成・裁判所への申請のすべてを弁護士が代理で行うため、確実に相続放棄申請を行うことができます。 | 「相続放棄手続き書類の作成」 司法書士は申告書類の作成を行います。裁判所への提出は本人が行い、裁判所からの通知や電話も本人に対してなされます。 完全な代行ではなく、書類作成の部分のみ司法書士が代行します。 |
費用 | 約5万円~ | 約3万円~ |
それぞれ特徴があるので、状況に応じて相談する専門家を選択しましょう。
どの専門家に相談すればよいかわからないときは
専門家の紹介を受けられる、こちらを活用してみてください。
相続・遺言問題でお悩みの方は、一人で悩まずに専門家に相談しましょう。相続放棄を考えている方は、一度相談してみてください。
相続放棄は、認められなかった場合、多額の債務を負うことになります。
一度放棄しようと決めた債務を負ってしまうのは、最悪の結末と言えます。
個人的に費用は掛かりますが、専門家に相談するのが一番良い選択肢だと思います。
相続人が全員相続放棄したら相続財産はどうなるの?
結論から言うと最後はすべて国庫に納められます。
マイナスの負債があった場合は、債権者にプラスの資産を分配した上で残った財産が国庫に納められます。
しかしマイナスの負債がプラスの資産より多い場合、家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任するための申し立てを行わなければなりません。
相続財産管理人とは、遺産の管理・清算を任される管理人です。
相続の関係者以外のほかに、地方公共団体などからの通知を受けて、検察官も「相続財産管理人」を選任するための申し立てをする場合があります。
家庭裁判所は、申し立てされた相続の状況などを考慮し、最適な管理人を選任します。専門家が必要だと判断されれば、弁護士や司法書士などを選任することもあります。
相続財産管理人の申し立てから、相続財産が国庫に納められるまでの流れはこちらです。
税理士法人レガシィ-全員が相続放棄をしたら、その後どうなる? 管理義務まで一挙解説
https://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/544-souzokuhouki-kanrigimu-kaisetsu/
ここで注意したいのが、前述のとおり相続財産管理人の選任にはそれなりの費用が必要となるということです。
相続財産管理人選任の申立てにかかる費用は、収入印紙等の手続き諸経費と相続財産管理人の報酬や管理費用にあてられる「予納金」があります。
予納金は、相続内容から報酬と管理費用を捻出できないと見込まれる場合に必要となり
金額は20万~100万円が目安です。
注意!相続放棄しても「管理義務」は残る
相続人の間で「相続放棄する」と意思を確認し合えたとしても、相続財産管理人が選任されるまでは、相続人に遺産の「管理義務」があります。
管理義務とは、相続財産管理人が遺産の管理を始めるまで
相続人は相続財産を自分の財産と同じように管理しなければならないということ
つまり、「相続放棄したから自分とは関係ない」とはならないということです。
相続財産管理人が管理を始めるまで、財産がきちんと管理されないと債権回収が困難になる
または不動産の倒木などで第三者に迷惑をかけた際に,、損害賠償を請求される可能性があるので
そのような事態を避けるための管理義務ということです。
ただし、仮に問題が起こっても
相続人が相続財産の処分や名義変更を行ってしまうと「単純承認」が成立し、相続放棄できなくなるので
相続財産管理人が管理を始めるまでは、焦って相続財産を処分しないように注意しましょう。
まとめ
今回は相続放棄についてお話しました。
大切なポイントはこの4点です。
相続放棄は認められなかった場合、多額の債務を負ってしまうため
状況に応じた最適な専門家へ相談するのがおすすめです。
また申告期限が3ヵ月と短いため、相続財産の洗い出しが終わったら
なるべく早く相続放棄の判断する必要があります。
私は、弁護士や司法書士ではない素人なので
実際に相続放棄を検討される際は必ずこちらのサイトをご覧ください。
家庭裁判所が相続放棄の注意点をまとめています。
次回は
次回は、冒頭で少しお話した「限定承認」についてお話します。
ある条件のせいであまり使われていない制度ではありますが
知っていて損はないので、お話していきます。
それではまた!
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